大手メーカーの経理ってどんな仕事してる?

就活・転職

「経理 サラリーマン」という検索が上位ということで、前職で大手メーカーの経理として勤務していた経験から、「経理ってどんな仕事してるの?」という疑問に、答えれる範囲で答えたいと思います。

【目次】

 

 

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1.バックボーン(工場経理)

まず、私の経理業務について。勤務先が工場ということもあり、担当業務は原価計算がメインでした。

工場(製品)に利益を稼ぐ力があるかどうかを明らかにするのが、原価計算の目的です。

ですので、税務申告や連結決算、有価証券の実務は当記事の対象外です。

 

工場経理という仕事について、概略を少し掘り下げます。

勤務地は他社でも例外なく工場です。工場の性質上、都内でも郊外、場合によっては地方勤務ということから、就活を行う学生からは敬遠されがちです。

先輩社員の多くは転勤族でした。(九州工場→本社→九州工場→関東工場)という猛者も居ました。

 

現場へ行き打合せを行うことも多々あるので、スーツではなく作業着での勤務となります。

オシャレとは程遠いので、同期の女子も「工場勤務だけは嫌!!」という子もいました。

男からすると洗濯が楽だったので、恵まれた職場だなと感じてました。(笑)

ただ、現場に節電を強いるので、事務所は夏暑くて、冬寒いです。

 

 

2.業務の流れ

月末・月初に業務が集中します。「工場経理の仕事=原価計算」と言っても過言ではありません。

原価計算の主な業務は、月末の製品コスト・部門費用の確定です。

 

少し専門的な話になりますが、私の勤務していた工場は大型の受注生産品を製造していましたので、原価計算は「個別原価計算」を行っていました。大学の応用簿記や簿記検定2級で学習経験のあるかたは容易にイメージできるかと思います。

 

製造部門は、注文番号に対して、「組立作業10時間」、「設計業務20時間」といったように、

“部門ごとの作業単価 × 時間 = 作業費用”を注文番号ごとにインプットしていきます。

そうすると、下図の様に注文番号ごとの製造コストが算出されます。

非常にざっくりと言うと、これが個別原価計算です。

「いや、経理、何もやってないじゃん」という突っ込みが入ると思います。

その通りです。この時点では経理は何もしていません。製造部門がインプットしたデータを、パソコンの画面で眺めるだけです。

企業によって業務は大きく異なりますが、月次の締め切り作業で忙しくなるのはここから先です。

 

月末最終日までにインプットされたデータを元に注文番号を1件ずつ目視で確認し、百件以上の案件の製造コストが適切かどうかを一つずつ確認するのが私の仕事でした。

「日用品じゃない製品、ましてや重機のコストが適切かどうかなんて、文系社員で分からるの?」

という疑問が生じるかと思います。

その通りです。文系社員じゃ、結果だけ見てもさっぱり良否の判断などできません。

 

その良否を判断するために、月初から月末まで多数の打合せに顔を出すのです。

作業進捗度合い、購買品が予算通りに変えているか、などの情報を得るために各部門の打合せに顔を出します。そこで得られた情報を元に、原価計算の結果の良否判断を行うのです。

コストが明らかに異常な場合、速やかに予算から外れている項目を洗い出し、関係部門へ確認をするのです。

 

月末はこの作業を、各部門がインプットを終えた17時頃から開始し、翌日の昼12時頃を目安に全注文番号の製造コストを確認していました。

締め切り時間がある程度決まっているので、時間との戦いでした。

しかし、徹夜での作業というのはありませんでした。(日付変わって、深夜1時に退社ということは何度もありましたが(笑))

 

 

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3.良いところ

月次で行う定型業務はこんな感じでした。4年間、この業務(工場経理)を毎月行って「良かったな」と思えるところを紹介します。

  • 簿記検定の内容を実務で経験できる
  • 製造業における「ヒト・モノ・カネ」の動きが理解できる
  • 他の製造業でも応用できる

 

まず第一に、「簿記検定の内容を実務で経験できる」です。

簿記2級の範囲を出るような実務は正直経験していません。ただ、断言できるのは、簿記2級を持っているからと言って、工場経理で必ず通用するとは限りません。

頭で理解するのは難しくありません。それを会社独自のシステムという画面で理解し、人に説明するのは容易ではありません。

(私も初めは苦労しました。)

ただ、苦労した分、理解度は増します。今でもいい経験をしたと考えています。

 

次に、「製造業における「ヒト・モノ・カネ」の動きが理解できる」です。

工場に勤務するという事の利点だと思うのが、「製品の現物を生で見れる」、「作業を生で見れる」点です。

作業単価が高い理由、調達コストが高い理由など、会社経営の根幹ともいえるポイントを直で見て、各部門の部長クラスに質問する事も出来るという環境は中々ありません。

大企業という大きな組織の一部であっても、その中で人事、購買、設計、製造、経理といった一連の流れを理解できたのは今でも財産になっています。

 

最後に、「他の製造業でも応用できる」です。これは日本人で生まれたからの特権とも考えています。

近年、日本のモノづくりはかつての競争力を失ったと言われています。しかし、未だに世界の中で指折りのモノづくり大国であることは変わりありません。

大手メーカーは、世界でも名が通っています。

工場経理で経験を積んで、次のステップを目指し転職を考えた場合、先述の内容を理解出来ていれば、職場が変わっても変わらず能力を発揮できます。

 

私は、大手メーカーから中小企業へと転職しました。

勿論、大手の様に優れた基幹システムなどありません。

しかし、製造業における費用発生のポイントを理解してさえいれば、応用は効きます。

今現在はベトナムに駐在していますが、日本人会計士と会話しても回答に困ったことはありません。

 

 

4.悪いところ

正直、経験上あまり悪いところはないのですが、特に就活生に向けて、コメントしたいと思います。

最初に述べましたが、工場経理となると勤務地が田舎、僻地であることが多いです。

作業着については、評価が分かれますが敬遠する人も一定数います。

 

業務について言いますと、本社部門とは業務が異なるのでいわゆる財務会計面の知識はつきにくいです。

決算業務は工場にもありますが、財務諸表の作成は本社の経理部門が行います。

同時に、法人税の申告書類作成も本社経理が行うので、工場経理ではこの辺の経験は出来ません。

 

今思えばですが、本社経理も経験してからの転職でも遅くはなかったと、少し後悔はしています。

 

以上、大手メーカーの工場経理実務の概略です。

今後、単価の設定、内部統制、監査対応なども掘り下げていきたいです。