ベトナム進出段階で経理の外注を勧める3つの理由

ベトナム全般

以前のブログで、製造業の進出にあたって疎かにされがちな経理部門のお話をしました。

タイトルの内容を、下記3つのポイントから説明します。

 

【目次】

 

 

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1.外資系企業の年度監査(を受ける)義務

ベトナムへ進出する外国企業は必ず、監査法人による監査を受けてその結果を行政当局(税務局、統計局、及び計画投資省)へ提出する義務があります。以前、弊社の監査報告書を見てみましたが、イメージとしては日本の大企業が公開している有価証券報告書に近いです。

損益計算書と貸借対照表を基本に、有形固定資産の性質や増加額、棚卸資産の範囲などをコメント書きしたものになります。

 

日本同様、法定監査は国から認定をうけた監査法人に依頼する必要があります。

日系~ベトナムローカルまで多数の法人があり、監査報酬も当然異なります。

純粋な意味での日系監査法人ではありませんが、会計BIG4(デロイト、EY、KPMG、pwc)も勿論進出しています。BIG4には日本人も数名常駐しており、JETROから発行されるニュースアップデートがBIG4駐在の日本人会計士によって執筆されていることもあります。

法定監査を依頼いなくても多かれ少なかれ、各法人の名前を目にすることは自然と多くなります。

 

年度監査が義務である以上、監査法人の選定は慎重に行ったほうがいいです。

選定には以下のポイントに注意してください。

  • 困った時に相談できる日本人常駐者がいるか
  • 実績のある監査法人か
  • 予算の範囲内か

 

まず、第一に日本人の有無は非常に重要です。中小企業を前提として話を進めますと、日本の本社や駐在者が英語で監査報告のやり取りを出来るケースは非常に稀と考えるからです。

全編日本語の監査報告書を発行してくれる法人は、少数派かと思いますが、少なくとも監査上の問題点くらいは日本人責任者からフィードバックして貰える環境を作りましょう。

 

次に、実績の有無も重要です。というのも、見積もりをとったら、料金(監査報酬)が安かったので依頼した監査法人が、そもそも法定監査を行うライセンスを持っていなかった、というトラブルが起こりえるからです。

日本では、まずありえないようなトラブルがベトナムです。契約の前に必ずライセンスの有無を確認しましょう。

 

最後に予算との兼ね合いです。企業の規模にもよるので、具体的な相場については言及できませんが、どれだけ安くても50万円は必要です。支払いの仕方にも注意が必要です。

例えば6月に中間監査での往査(実際に工場・会社に監査法人スタッフが来て事業の状況を確認)、と12月に再度の往査というカタチをとり、半年ごとの支払いにする。

など、契約の形態はある程度交渉可能です。見積もりを取る段階で、内容を詰めることが必須です。

 

BIG4以外で、法定監査の相談ができる会計事務所をいくつリストアップしておきますのでご参考下さい。

*各事業者さまの質を保証しているという訳ではございませんので、ご契約は自己責任でお願い致します。

 

監査が法定である以上、最低でも年に1度は監査法人とミーティングをすることになります。

ベトナムという国でビジネスをする以上、会計・監査というのが駐在者にとって非常に重くのしかかる問題であるということを、ここでは記憶しておいてください。

 

 

2.分かりにくい制度、所管の税務署によって異なる見解

ベトナムの税制、会計制度は非常に分かりにくいです。これが、経理部門にお金をかけて外注を勧める理由の一つでおあります。

日本国内でも、ベトナムに拠点を持つコンサル(法務~会計まで様々)の説明会が有料・無料で開催されています。いくつか参加しているうちに気付くのですが、各社の説明内容や法律解釈が微妙にずれてることもあります。

 

しかし、これ「Aというコンサルが正しく、Bというコンサルが間違ってるという」内容のものではございません。(まれに業務の品質が低いコンサルもありますが。。)

解釈の差異は、実務を担当した時の取り扱いの差異が反映されてることがほとんどであると思います。

つまり、ベトナム国内において、担当税務署によって法律解釈が異なるというケースは非常に多くあるということです。

 

日本で考えますと、法律を元に下された決定(判例)は法律と同等の効力を持ちます。しかし、ベトナムにおいては過去の判例と矛盾した決定がされることも多数あります。

 

「あれ?自分がセミナーで勉強した解釈と違うぞ?」という通達を会社が受けた場合、相談するのが会計事務所・会計コンサルになります。

こうした場合に、日本人責任者が居るのと居ないのでは大違いですよね。

このような状況に遭遇した場合は、遠慮せず担当の方に相談しましょう。

 

 

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3.経理主任(CA)の離職リスク

どの会社も抱えている悩みだと思います。

ベトナム人、離職率高いです。なぜか、アメリカ的な風潮もあるようで、“転職を重ねる人=能力が高い“と見られるようです。

(勿論、勤続20年以上といったように、ベトナムが外資系企業の受け入れを始めた当初から、勤めあげているスタッフも一部にはいるようです。)

 

弊社も以前はそうでしたが、前任駐在者が経理の事を意識しておらず、採用した経理主任(ベトナムではチーフアカウンタント(CA)と呼びます)に経理を一任しておりました。

その結果、同じ取引なのに使用してる勘定科目がバラバラという悲惨な経理台帳が作成されていました。

しかも、経費削減ということで安い監査法人に監査を依頼していた為、そんな経理台帳が“問題ない“とされていました(泣)

しかも、そのCA、年度の途中で急に辞めました。「主人がハノイに転勤になったので。」と言って、山のような帳票を会計ソフトにインプットもせずにです。

 

無事に後任は採用できましたが、後任CAから「必要な帳票がない」、「税の申告が間違ってる」など多数のクレームが来ました。

そこからの建て直しには、非常に長い時間と労力が費やされました・・

 

本日のブログで、私が強調したいのはここです。

立ち上げ後、最低でも1年間は経理業務の外注を行い、社内に仕訳のひな形と規定をキッチリ決めるということです。

「1.」でご紹介しました会計事務所は、記帳代行に+αで、社内の経理規定や仕訳ひな形作成の相談にものってくれます。

すべての事を駐在員一人で面倒見るのは諦めて、早期に相談することをおススメします。

 

もし予算に余裕があるなら、記帳代行を会計事務所に委託すると同時に、CAは自前でも雇用しましょう。1年程度、記帳代行と自前の記帳を並走させることで、自前CAの育成も可能です。

勿論、離職のリスクはあります。しかし、記帳代行を通じて共通認識を持って、会計業務を駐在員とCAで行うことで、お互いに仕事がし易い環境が生まれます。

(駐在員は記帳における不明点を、会計事務所に即座に確認できます。)

仕事のし易い環境というのは、ベトナム人にとっても仕事のしやすい環境であり、ある程度は離職率を下げることも可能です。

 

年間の記帳業務がスムーズに流れていくことで、結果的に年度監査もスムーズに進むということになります。

 

どうしても、賃金の安さや製品の品質に目が行きがちですが、バックオフィス(特に経理)へも意識をうあることが必須です。