中小企業と大企業 ~経理に求められるスキルの違い~

中小企業

ここ数年、経理は中途採用で空前の売り手市場とも言われています。
私自身、転職活動を行った時にそれは強く感じました。
転職活動の結果、ベトナムで駐在員として仕事をしています。
まだ社員数の少ない工場で社長業をしていますが、経理の面倒を見る機会が非常に多いので、自らの経験に基づいて、中小と大企業で求められるスキルの違いを解説していきます。

【目次】

 

 

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1.幅広い業務を担当する中小の経理

中小企業とヒトコトで言っても規模は様々です。
年商数億円や従業員数1,000人以上の会社から、従業員20人未満のスタートアップのような会社。
一概に定義するのは難しいですが、今回お話するのは専門で「経理」と呼べる社員が数名(場合によっては1人)しかいない法人を指します。

となると、自然とカバーする業務範囲も広くなります。

 

中小では

売掛金・買掛金の管理、給料計算と振込、伝票管理、原価計算、固定資産・棚卸資産の管理、各種税務申告などなど
一つのトピックで1冊本を書けるレベルの業務を複数もしくはすべて担当することになります。

材料の仕入れ伝票の管理から法人税の申告まで一連の経理業務を、1人で賄うという事例も珍しくはありません。
勿論、会社の顧問会計士・税理士と相談しながら業務を進めることにはなります。
つまり、中小で経理実務を経験した場合は、企業活動に関わる簿記一巡をほぼすべて経験したゼネラリストになります。
↓ざっくりとこれらは全部経験できます。

 

大企業の場合は対照的

かつて私が担当したように、「原価計算」とひとつ役割を与えられたら、他の業務へ触れることは基本的にありません。
というよりも取り扱うデータ(仕訳)の量が膨大で、複数の業務を管理することは難しいです。
定期異動によって業務が変わるというのがメジャーですので、通常は3年~5年は同じ業務を行うことになります。
ですので、細分化された領域についてはスペシャリストになります。


(仕事は細分化され、出納や固定資産の管理は経理の子会社に外注される場合も多いです。
「シェアードサービスセンター」とググってみて下さい。入社後に即転籍ということもあります。)

 

2.報告する力、調整する力が問われる大企業経理

大企業の経理で必要なのは「組織として仕事をする感覚」かと思います。
毎日の業務で色々なExcelファイルを作成しますが、それらは全て上司もしくは他部署への報告資料です。
基本的に大企業の経理部門は、社内ネットワークから仕訳データを閲覧・DLが可能です。
仕訳データを整理すれば、月間・年間の損益は容易に把握可能です。

ただし、損した得したという結果報告だけでは仕事と呼べません。
「何が原因で」という理由を報告するのが大企業経理の仕事です。
報告を肉付けするために、「組織として仕事をする感覚」が必要になります。
営業部門、調達部門、現場とのミーティングを通じて、損益の原因を追究し、翌月以降の損益見込まで作成するというのが大企業経理の業務です。

必然的に対話力・理解力が試されるということになります。
営業や製造など、いわゆる現場の最前線にいるわけでは無いにも関わらず、ミーティングの内容を理解しそれを上司に伝える必要があるのです。

(情報の形は部門によってバラバラで、決して分かりやすい内容ではありません。資料の作りも部門のクセが強く出ます。)

比較的まったりな職場とは思いますが「理系じゃないから分かりません」という言い訳が通用するほど甘い職場ではありません。(一定数、そういう社員も居ますがね・・)

 

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3.大企業から中小企業へ転職した場合

業務内容

先ほどまでの内容から分かる通り、両者の業務は根本的な性質が異なります。
ですので、それぞれが思い描く経理像というものはマッチしません。
中小で必要な経理は「ゼネラリスト」であるのに対して、大企業の人材は「スペシャリスト」です。

ですので、中小へ転職した当初は毎日が勉強です。
細かな出納業務、消費税・関税など日常的に発生する税実務、源泉徴収した所得税・社会保険料など非常に学ぶ点が多いです。
簿記1級や公認会計士試験で出題されるような連結会計や税効果会計など、高度な論点は登場しませんが、扱う幅の広さは大企業の時の比ではありません。

 

 

収入

大企業から中小へ転職した場合、通常では収入減へと作用します。
単純な年収のみならず、福利厚生など含め諸条件で大企業以上の給料を払ってくれる中小はかなりレアだと思います。

ごく一部とは思いますが、私のように新規事業・拠点立ち上げのタイミングで上手く収入アップにつながるケースもあります。
こうしたレアケースを引くには「海外」というキーワードが不可欠と思われます。

 

「ベトナム 経理 求人」と検索したところ、上記のような人材会社もありました。(リンク切れしているかもしれません。)
抜群に好条件の求人こそありませんが、手取り保証で2,500$ほどあれば残業時間次第では悪くないと思います。
ただし、ベトナムの場合は日本よりも稼働日数が多いので注意です。(↓の過去ブログもよければご参照下さい。)

ベトナム駐在ってメリットある?

 

4.番外編 ~未経験だけど経理に転職するには~

経理はAIに奪われる仕事No.1と言われていますが、今の20代がリタイアするまでは、その心配はないでしょう(と思いたいです。)
たまに、未経験の後輩から「経理に転職したい」と相談を受けます。
この場合、「簿記2級」と「TOEIC750点」の取得を進めています。

 

簿記2級

簿記検定は3級と2級では難易度に大きな開きがあり、2級から就職にあたって大きく評価されます。

取得後のステップとして、「未経験 経理」の求人を探します。
正直、好条件の求人はさほどありません。ただ、2年程度実務を経験し、簿記2級を持っているとなるとその後の選択肢は広がります。
転職市場がかなりの売り手市場である今を逃すと、状況が好転することは考えにくいです。
チャレンジするなら、今は絶好のタイミングと言えます。

 

 

TOEIC750点

簿記に加えてセールスポイントを作りたい場合はTOEIC750点以上を目指すことをおススメします。
英語が苦手であったり、受験経験がないと750点は高い壁のように感じます。
しかし、実際はそんなことありません。
大学受験で英語も受験した現社会人であれば、半年ほどの努力で取得可能と考えます。
(TOEIC対策はネット上に転がってるので執筆するかは未定です・・)

個人的には、簿記2級よりもTOEIC750の方が簡単とすら思います。

 

 

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5.まとめ ~中小経理人材の今後~

長々と書いてきましたが、要はこのヒトコトです。

中小で必要な経理は「ゼネラリスト」であるのに対して、大企業の人材は「スペシャリスト」

求める能力が異なるので、どちらが優秀とは一概に言えませんが、副業解禁に向かう流れを考えるとゼネラリスト経理は強いかと思います。
副業とは言え、それはビジネスです。
ビジネスがあるところには必ず経理が絡んで来ます。

つまり、ビジネスにおける一連の流れを理解している、実務で行ったことのある経理は活躍の機会が増えると私は予想しています。