ベトナムにおける税務署・税関の抜き打ち調査

ベトナム税務

ベトナムに事業展開するにあたって常々問題になるのが、「法律や税制が不可解」という点ではないでしょうか?

間違いなくその通りだと思います。

駐在員で仕事をしていると、必ず1度は税務調査や税関・消防の抜き打ち調査に引っかかり、「これとこれで不備があるから罰金300万円ね」という通達を受けることがあるかと思います。(ドンに換算すると6億VNDという異常な数値になるので、マジでビビります。)

 

今日は、体験ベースで調査がどんな感じか纏めていきます。

 

【目次】

 

スポンサードサーチ

1.調査は突然やってくる

通常ベトナムの税務調査は5年で時効とされています。つまり、5年間バレなければ基本的にその分のものは指摘されないということです。

 

つまり、役所の立場に立つと「まぁ、5年に1回は調査に行くか」というところでしょう。

基本は、オフィシャルなレター(調査にあたっての通し番号などが押印された調査決定書)が郵送や職員持参などで送られてきます。

もちろん、全文ベトナム語です。

記載事項はざっくりと

  1. 調査日程(だいたい5営業日くらい)
  2. 調査範囲(なにを見るか)
  3. 調査にくる職員の名前

こんな感じです。税務調査も税関の監査も内容はだいたい同じです。

 

日程を告げられてからでも、「CA(チーフアカウンタント)が産休で・・」とか「社長がその間不在で・・」とか言うと1〜2週間程度ならズラしてくれるそうです。

(私は試したことがないので分かりませんが・・・)

 

 

2.調査される書類

さて、職員が指定の日時通りに会社にきます。

この時、少しばかりの気遣いがある方が無難です。現金(50万VNDほど)を封筒に入れて渡すというのもひとつの手とは思いますが、会社のコンプライアンスもありますので私は日本製の化粧品やお酒を渡すことをおすすめします。

(その方が、希少性もあって職員の機嫌が良くなるパターンもあります。)

何より、最初から喧嘩腰の態度で望まないことです。

 

職員と少しばかし雑談をすると、調査決定書の朗読があったり無かったりします。

私の記憶では、調査に合意するという旨のサインを求めらたはずです。

 

そして、具体的な調査が始まります。

職員から、調査範囲の書類を持って来なさいという要求が出されます。

売上(輸出)が調査範囲の場合:

注文書、売買契約書、貿易書類(インボイス、パッキングリスト)、通関書類、会計帳簿など

固定資産が調査範囲の場合:

売買契約書、レッドインボイス、固定資産台帳、会計帳簿など

 

こんな感じの書類を提出することになります。過去5年分ともなると結構なボリュームです。

 

まぁ、とにかく色んなことを聞いて来ます。

はっきり言って調査と関係ないだろ?!という事も普通に聞いて来ます。

「年間の生産量はいくらだ?」「この固定資産は1日何時間使う?」「この機械の最大積載量は何トンだ?」など、それ聞いてどうするのというような事も聞いて来ますし。

輸入機械の場合、メーカーから仕様書(もちろん日本語)を取り寄せることになった事もあります。

 

ただ、注意点として、「日頃から書類に書面と社印は漏れなくしておきましょう」というのが1点です。EPEのように本社への売上しかないという場合に、売買契約書や注文書の署名が疎かになっているケースはあります。

経理台帳なんかも、署名の箇所が多くてうんざりしますが、こまめに署名だけはしておきましょう。

 

 

スポンサードサーチ

3.議事録からの決定書

煩わしい調査が終わると、「最終決定を言い渡すので・・」という事で集められます。

リーダーっぽい職員が、つらつらと結果を朗読します。(職員や地域によっても異なるかと思います。)

 

職員:「さて、以上の不備が見つかったので○○○VNDの罰金になります。この議事録にサインして下さい。」

 

的な事を言い渡されます。

良く聞く話ですが、ベトナム税務調査でノーダメージはあり得ません。

まぁ、まずはビビらず落ち着きましょう。

 

ここで大事なのは、金額や相手の言い分が納得できない場合、慌ててサインしない事です。

「今サインしないと、罰金がもっと増える。」とか若干脅しめいたことを言って来ますが、とにかく慌ててサインしない事です。(明らかにコチラに不備があり、指摘が納得できる場合は、速やかにサインをしたほうが良いですが。)

 

この指摘を不服として、会計事務所や法務コンサルに相談するにあたって、「何を指摘されたか」というのは非常に重要なポイントになりますので、職員が帰る前に会社のスタッフに細かく確認させましょう。

そして、その日はとりあえず職員に帰ってもらい、速やかにコンサルへ連絡を取ることをお勧めします。

 

 

 

4.抗弁の可能性

《実際にコンサルと相談したけど、こちらに非がある場合》

出来るだけ早めに指定の金額を支払ったほうが良いです。ただ、この際に総務のスタッフが「社長、賄賂で○○万円払うとチャラにできますよ」的なことを言い出す場合があります。

会社のコンプライアンス次第ですが、あまりこの方法での解決はお勧めしません。

総務と職員がグルになっている可能性があるからです。

 

《こちらに非がない場合》

通常、コンサルにしても税務調査への対応や抗弁は別料金という料金体系の会社が多いです。速やかにコンサルから見積もりをもらい、罰金の金額と見比べ、必要な措置を取りましょう。

 

罰金額が明らかに以上かつ、指摘が理不尽な場合は、多少金額が掛かってでも抗弁を代行してもらったほうが無難です。コンサルによっては、会社の制服を着て職員とのミーティングに参加してくれるコンサルもあります。

(各種コンサルと契約する前に、こうした有事にどういう対応をいくらでしてくれるかを把握しておく事も重要です。)

 

先述の通り、抗弁したとしてもダメージがゼロになる事はあり得ません。

加えて、抗弁の間は駐在員も新たに書類の提出を求められたりするので、お金のみならず時間も取られるということを頭に入れておく事が好ましいと思います。